「旧三商大戦総括」・・・風戸啓希(主将)


 先日8月11日に兵庫県尼崎市の尼崎記念公園陸上競技場にて三大学対校陸上競技大会が開催されました。
 我が一橋大学は昨年、一昨年とこの大会での最下位が続いており、この大会での優勝が悲願の目標となっておりました。就活生の多くが不在の試合ではありましたが、下級生を中心に成長が目立ち、当日は優勝を目指しチーム一丸となり全力で戦い抜きました。以下では対校種目の戦績を中心に振り返らせて頂きます。 (記録の詳細は 現役ページをご覧ください。)

< トラック >

対校100m…この種目では一橋大学の松島(3)と大阪市立大学の高津(3)の両学内記録保持者同士の対決に注目が集まりました。レースは松島がスタートから抜け出し、加速局面で後続との差を広げ、優勝を果たしました。タイムも向かい風1,5mの中で10”89と好記録をマークし、今後の学内記録の更新に期待が持てます。また混戦となった2位争いでしたが、山下(3)が必死にくらいつき、故障をしていた影響を全く見せない走りで4位に食い込み得点を獲得しました。

対校400m…昨年度は4位以上が49秒台というハイレベルになった男子400mでしたが今年はリスト1位、神戸大学の主将植田(3)が欠場し、混戦が予想されました。一橋大学からは今季大きく自己ベストを更新している上村(2)・堀越(3)が出場しました。前半から上村が積極的に飛ばし、先頭争いをするも第3コーナーから遅れ出し、ホームストレートでは大阪市立大学の2人に大きな差をつけられてしまった。一方の堀越は前半からスピードに乗れず、後半も伸びを欠き、この種目でワンツーフィニッシュを果たした大阪市立大学と大きな差をつけられてしまいました。今後は対校戦で相手と互角に勝負するために必要な49秒台を目指して日々の練習に打ち込んでほしいです。

対校1500m…大会記録(3’58”9)を上回ると10点が入るこの試合では、主将の風戸(3)は大会記録を上回る自己ベスト(3’55”50)を持つとともに、今年に入ってから3分台を6回出し、大会記録の更新が期待されていました。また神村(4)も就活中に順調に練習を積み自己ベストを上回る力を持った状態でこのレースに臨むことが出来ました。レースはスタートから風戸が飛び出し、ハイペースでレースを展開し、独走での大会新を目指したもののラスト100mで失速し、0.1秒で大会記録を逃しました。一方の神村は集団の中でクレーバーなレース運びをして残り200mでスパートをかけ2位にあがったが、ホームストレートで逆転を許し、4位となりました。チームの勝利に絶対条件であったこの種目での高得点が伸び悩んでことはチームに与えた影響が大きかったです。

対校5000m…前回覇者の神戸大学の丸岡(3)が優勝候補でしたが、丸岡のシーズン前半の不調、また一橋大学の柿沼(2)の急成長により、14分台の自己ベストも持つ実力者の菊地(4)とともにこの種目でのワンツーフィニッシュを目指し走りました。暑い中、スローペースでレースが展開し、一橋大学の2人は前に出ることなくスパートのタイミングを窺いました。レースは残り500mの菊地のスパートで大きく動き、柿沼が反応し、この時点で優勝争いは柿沼、菊地、丸岡の3選手に絞られました。残り200mで一橋大学勢が抜け出し、目標の達成が頭に過りましたが、丸岡が執念のスパートで2人を一気に交わし二連覇を達成しました。スパートのタイミングやレースの駆け引き等対校戦の難しさを痛感するレースになりました。

対校110mH…一橋大学からは内田(3)と安藤(2)が出場しました。内田は今シーズン400mHの記録が飛躍的に向上し、関東インカレ出場目前にまで成長しました。また、安藤は短距離を専門にしていますが、この日のために計画的に準備をして参りました。しかしながら、1位から4位までが16秒切りの高いレベルでの戦いとなり、一点を獲得するにとどまりました。選手層の薄さが嘆かれるこの種目で他大のエースと互角に戦い合うのは容易ではありませんが、今回悔しい思いをした2人を中心にチーム全体で克服すしなくてはならない課題であります。

対校4×200mR…最終種目となりましたこの種目を前に一橋大学は神戸大学とは大差をつけられていましたが、大阪市立大学を2点上回っており、総合2位の獲得とともにトラックの優勝がかかっておりました。走順は松島?小口?上村?山下でチーム内の激しいセレクションを勝ち抜いたこの4人に全てが託されました。100mチャンピオンの第一走者の松島が大きく抜け出し、第二走者の小口へ。バトンパスでごたつきはあったものの小口は前半リードを保ったままホームストレートへ。しかし、暑い中幅跳びへの出場での疲労か、後半失速し、大阪市立大学と並んで第三走者へ。上村は前半から飛ばすがブレイクインで大阪市立大学、バトンパス直前で神戸大学に抜かれてしまいました。アンカーの山下は前2人を必死に追い、ゴール目前で神戸大学を胸の差で交わし意地をみせました。

< フィールド >

対校幅跳び…直前の怪我により四大戦覇者の矢野(2)が欠場することとなったこの種目でしたが、小口(1)と安藤(2)がしっかりとカバーし、それぞれ自己ベストとなる6m77cm,6m35cmを跳び実力を発揮しました。特に小口の記録は関東インカレ二部のB標準にあと13cmに迫るもので今後の活躍が期待されます。しかしながら、関西インカレ二部チャンピオンの大阪市立大学村上を中心に好記録が相次ぎ、小口が4位、安藤が6位にとどまりました。

対校高跳び…一橋大学からはエース中山(2)のみの出場となりました。中山は練習での跳躍で1m90cmの自己ベストをマークするなど着実に力をつけてこの大会に挑みました。大阪市立大学の佐野との一騎打ちになり、1m85cmをともにクリア。勝負は次の高さとなりましたが、ともに惜しい跳躍が続き、結局試技数の差で中山は二位なり、優勝を目前に悔しい結果となりました。

対校棒高跳び…少数対校戦では三商戦のみが対校種目であるこの競技ではありますが、一橋大学からは桝田(2)と中山が出場しチームの目標達成に貢献しました。桝田は怪我に苦しみ思うように練習を詰めず、不安を残したままこの試合に臨みましたが、本番できっちり記録を残しました。一方の中山も高跳びの惜敗を引きずらず、自己ベストを60cm上回る試技をみせ3位に食い込みました。

対校円盤投げ…不動の対校選手竹内(4)と今後この種目を牽引していくことが期待される井手(2)が出場しました。竹内は練習での投擲で30mを越え好調が伝えられておりましたが、本番では自己ベストをマークすることは出来ず、4位に沈みました。一方の井手は練習量の確保はできているものの投擲に結びつかないもどかしい状態が続き、この日も目標の25m越えを果たすことは出来ませんでした。コーチの方の助言やご指導を受け今シーズン中に他大の対校選手と互角に渡り合える実力をつけてほしいです。

対校やり投げ…学内記録保持者の矢部(2)と椎間板ヘルニアからの復帰をはたした橋(4)が出場し、この種目での勝ち越しを目標に戦いました。矢部はシーズン前半怪我の影響で本来の投擲が出来ずにいましたがこの大会で58m17cmのシーズンベストをマークし貫禄の優勝。今後は少数対校戦ともに関東新人等のレベルの高い試合での飛躍が予想されます。橋は半年近くの故障を乗り切り見事な復活を果たし4位にランクインしました。しかし神戸大学に2,3位を譲りこの種目で勝ち越すことはできなかったです。

対校砲丸投げ…ともに二種目目の出場となった矢部と井手であったが神戸大学の実力者の高い壁を切り崩すことは出来ず、矢部が4位、井手が6位にとどまりました。砲丸投げでの10mを超える投擲が出来る選手の育成が今後のチームの勝利への鍵を握っているので残り対校戦それから来季に向け選手育成に努めたいと思います。

< 全体の総括 >

 今回の三商戦は例年とは時期が異なり8月初旬の開催となりました。夏休みに入り練習に割ける時間も増加し、チームとしてこの試合にピークを持ってこられる状態にありました。当日も多くの選手がベストに近い記録をマークし、おおよその実力を発揮することはできたと思います。またOPや対校を問わず、応援・サポートする体制をとり、今シーズンの部のスローガンである『対校戦を全員で全力で戦い抜く』を実行できていました。
 しかしながら、結果は3年連続の最下位と目標としていた優勝とは大きくかけ離れたものでした。この原因は一言ではいい切れず様々な要因があることが考えられますが、『勝負弱さ』が原因に占める割合が多きいのではないかと個人的には感じております。あと0,1秒速ければ大阪市立大学に勝つことが出来ました。そうした僅かな差を短縮できないのは試合当日だけでなく、普段の練習から勝負にこだわる厳しい姿勢が必要となってきます。       
 今年の対校戦も余すところ東大戦、名大戦、25大学戦になります。これらの対校戦で勝つためには『勝負強さ』を身につけることは必要不可欠であります。今一度今回の結果を振り返り、個人やチーム全体として立てた目標との差を明らかにし、課題克服に当たりたいたいと思います。

 最後になりましたが、今回平日にも関わらず多くのOBOGの皆様に駆けつけて下さいました。また、出場する選手のためにサプリメントやスポーツドリンクを届けてくださいました。皆様のご支援やご声援のお陰で暑い中でも最後まで戦い抜くことが出来ました。現役部員を代表しまして御礼申し上げます。今後の対校戦ではそうしたご期待に結果で応えられるように全力を尽くしますので、今後とも宜しく御願い致します。