「東大戦総括」・・・三宅 喜貴(主将)
8月31日、駒沢オリンピック公園運動場陸上競技場において第55回東京大学・一橋大学対校陸上競技大会および第11回東京三大学女子対校陸上競技大会が開催された。当日は気温が36℃まで上昇するという、非常に暑い中で競技が行われた。約2万席にも及ぶスタンドに囲まれた中での大会であり、伝統ある東大戦にふさわしい競技場で陸上競技を行えたことにより選手やマネージャーともに気持ちが高揚した。東大側も主力を用いて全力で戦いにきていることがわかるエントリーであったため、真剣勝負のぶつかり合いであった。当日の朝、開会式を終えた後最初に始まった種目は100mと砲丸投であった。
1.種目別結果
・100m対校・男子
一橋からは児玉(3)、山上(2)、高崎(3)の三名が出場。児玉と山上は自己ベスト10秒台であり、高崎も今シーズン練習を積めていたことから期待大の種目であった。スタート後30mまでは東大生二人に先行されるが、60mすぎに児玉、山上が東大生を追い抜きそのまま11”25(1着)、11”27(2着)でゴールイン(-1.2m)。高崎は中間が思うようにいかず6着の11”70であった。1,2着をとれたのでチームとしても幸先の良いスタートとなった。
・砲丸投対校・男子
岡嶋(2)、三宅(3)、玉居子(5)の出場となった。前評判から東大エースの優勝は固く、2位以下を争う試技であった。しかし一投目で東大生ほかの二人が9m台をマーク。岡嶋は手首を痛め本調子が出ないまま8m38cmを投げて4位。玉居子三宅は完全なパワー、技術不足によりそれぞれ5位7m44cmと6位7m32cmであった。
・砲丸投対校・女子
津田からは橋本(3)、大徳(1)が出場した。橋本は東大生相手に善戦し、一人を倒し2位5m99につけた。一方の大徳は初の砲丸投のためか砲丸がなかなか砂場に届かず、4m72の4位に終わった。参考までに、優勝は東大生の武田さんで、10m58の大会新記録であった。
・100m対校・女子
津田からは山田(1)、大徳(1)の出場。スタートを一度やり直した後、レース開始。東大のスプリンターたちを相手に粘るものの、地力の差もあり山田が3位の14”19(-1.3)、大徳が4位の14”90(-1.3)でのゴールであった。
・1500m対校・男子
1500mには斉藤(5)、石井(4)、風戸(1)の三名が出場。風戸の初対校レースであり、スコンクが期待される種目であった。レースがスタート。先頭は東大生が走り、一橋の三人が後ろにつく。一周目は67秒で通過。650m過ぎで後ろから一人東大生が前に出て先頭を引っ張る。2周目通過時点で2’16、東大石井東大斉藤風戸東大の並びで団子状態であった。850m過ぎから風戸が徐々にペースをあげ、1000m付近から飛び出し逃げ切り体制を作った。石井がそのサポートに徹し、追い上げてくる東大生から風戸を守る。ラスト200mで石井風戸が逃げ切れることは明らかであった。そのまま1位石井4'06"84、2位風戸4'08"24でゴールイン。斉藤はラスト100mまで4位だったが、最後スパート。3着4'09"35で見事スコンクを達成した。
・1500m対校・女子
一橋からは熊谷(3)、今野(1)、津田からは東海(2)、中嶋(1)が出場した。一年生二人は初対校レースということで、洗礼を浴びた。入りは88秒通過。この時点で前4人の集団と、今野中嶋にわかれる。2周目は急にペースが上がり、800m通過で東大2人と東海の3人の集団になる。東海はラスト一周まで食らいつき、そこからスパート。東大生が一人ついてきて一騎打ちとなった。しかし抜かされることのないまま、1着5'03"75でゴール。見事なスプリントであった。熊谷は4着5'26"78、中嶋は序盤最下位であったが徐々にペースアップ、今野を抜かして5着5'39"76でのフィニッシュであった。今野は6着5'41"24。これから伸びしろのある二人だけにこの経験を今後に生かしてほしい。
・円盤投対校・男子
竹内(3)、高橋(2)、照井(2)の三枚が円盤投げのサークルに登場した。練習の時の力を発揮できず、高橋は22m58の4位、竹内は22m45で5位、照井は20m34で6位となった。東大は三枚目が28m05を投げており、砲丸投げ同様大きく差をつけられての敗北、スコンクであった。
・110mH対校・男子
この種目は河村(3)、竹内(3)二名の出場。15秒台選手を数枚抱える東大相手に河村が健闘した。後半で安定したハードリングを行い、隣のレーンの東大生とともにグングン進んだ。80m付近で先行していた東大生を追い抜き、2着16”05(-1.7)でゴール。竹内はハードリングに失敗し歩数が狂ったため、5位19”81でフィニッシュとなった。
・走幅跳対校・男子
幅跳びには佐野(4)、松山(3)、堀越(1)が出場した。佐野が早々に6m44(+3.8)を跳び、一堀越も一回目の試技で6m07の自己ベストをマーク。幸先のいいスタートかと思われたが走幅跳王国の東大も負けじと跳び、6m89(+2.5)を記録するなど好調ぶりを見せつけてきた。松山は調子が良くなく、6m07で堀越と同記録。中盤まで佐野は3位につけていたが、東大の三番手が6m48を跳び、佐野は4位に転落。そのまま試技が終了し、スコンクをくらってしまった。
・走幅跳対校・女子
津田からは砲丸投と同じメンバーである橋本(3)、大徳(1)が出場した。その時ピットには追い風が吹いており、記録の出やすい試技となっていた。そこで橋本は追い参ながらも自己ベストを30p程更新する4m55(+3.0)をマーク、2位につける。大徳も流れに乗り4m44(+2.3)を記録し、3位を確保する。そのまま逃げ切り、試技を終えた。
・400m対校・男子
我らのチームからは三宅(3)、鈴木(3)、照井(2)の三名がスタブロの前に立った。49秒台前半の力を持つ東大生が二人おり、150m地点のバックストレート付近で7レーンの照井と5レーンの鈴木がそれぞれのインレーンの二人に並ばれる。3レーンの三宅はスプリント力不足により後方待機。そのままラスト100mに突入。東大生二人が先頭に立っており、ラストに強い三宅と鈴木は追撃するも追いつくことができずにゴール、三宅3着49”61の鈴木4着50”22であった。照井は3番手を下し5位51”65でフィニッシュした。チームの良い流れをこの種目で変えてしまった。
・400m対校・女子
津田からは山田(1)、東海(2)の出場。東海は長距離において異彩を発揮しており、400mでも通用できるかが焦点であった。山田は好スタートを切り200m過ぎでアウトレーンの東大生と並ぶ。事実上この二人に一騎打ちとなった。300m地点で離すものの、ラスト50mでまくられ2位65”37。東海はラスト100mで3位の東大生を追い抜きそのままゴール、3位67”53であった。
・4x100mR対校・男子
高崎(3)-山上(2)-矢野(2)-児玉(3)のオーダー。5レーンの高崎は得意のスタートを活かしロケットスタート。4レーンを走る東大生に少し差をつける。続いて2走の山上。高速回転のピッチで東大生を数メートル引き離す。矢野がバトンを受け取り、第4コーナーに差し掛かったところで児玉にバトンパス。東大生もほぼ同時にパス。アンカー勝負となった。最後は児玉が沈めて堂々の1位42”27。東大は42”61であった。
・やり投対校・男子
投擲最終種目のやり投には高橋(2)、河村(3)、斉藤(5)の3名が出場。何とかこの投擲種目だけはスコンクを阻止してほしかった。45mの自己ベストを持つ高橋に期待がかかるが、向かい風の影響もありうまくやりが回転せずバニンバニンとなる。その結果、高橋は38m74で4位に終わる。河村も今回は37m87、斉藤は途中でひじを痛めて33m04。ここもまたスコンクされてしまう結果になった。
・走高跳対校・男子
一橋からは佐野(4)、松山(3)、岡嶋(2)の三人が出場。前日に東大側の一年生で190p台を跳ぶジャンパーがケガをし正補入れ替えになることがわかっていたため勝負がやりやすくなった種目である。一位の195pを跳ぶ東大生以外は接戦であった。松山と佐野と岡嶋は1m65pをクリアし、170pに挑んだ。前の二人はこれもまたクリアするが、岡嶋はここで敗退。165cmを記録。松山佐野は175pに失敗し1m70の記録となるが試技回数などで松山が2位、佐野が4位。岡嶋は4位であった。走高跳が唯一戦えた種目であるだけに来年さらなる強化を果たしたい。
・5000m対校・男子
庄子(4)、菊地(2)、澤武(3)の三名が唯一の長距離種目5000mに出場した。相手は14分台ランナーが一人、15分台前半が一人、15分台後半が一人であり、2位以下の接戦が予想された。安定したペースでレースは進むが、東大の選手が一人中盤で脱落して集団は5人となった。澤武は何度も集団から離れそうになったが、そのたびに庄子が先頭でペースを抑えることで澤武が集団から遅れることはなかった。ラスト600mで庄子がスパートをかけるが、東大の1番手の選手は余裕を残しており振り切られてしまう。澤武もラスト1周でスパートをかけたが、東大の2番手の選手にラスト200mで抜かれてしまい、一橋は澤武3位16'14"81、4位菊地16'18"83、5位庄子16'20"18でフィニッシュとなった。
・4x100mR対校・女子
津田は大徳(1)-山田(1)-東海(2)-橋本(3)の4人が出場。短距離選手相手に、混成での出場は厳しかった。序盤で大きく離されそのロスが開くままであった。選手は力走したが、57”13の2着。東大と約5秒差つけられてしまった。
・4x400mR対校・男子
矢野(2)-鈴木(3)-照井(2)-三宅(3)のオーダーで最終種目であるマイルの臨んだ。目標はただ一つ、何としてもマイルで勝つことであった。雷管の咆哮とともに4レーンを走る矢野、そして5レーンを走る東大がスタートを切った。矢野は前半を飛ばし、200m通過地点でアウトレーンの東大に並びかけた。そのまま平行線をたどり350mまで。最後の直線で抜くもそこで少し割れた矢野は減速、しかし数メートルのリードを保ってのパトンパス。次に2走の鈴木が東大の2走と勝負。最初の100mで追いつかれそこから300m地点までは先行されるも、ラスト100mからのスパートにより東大とほぼ同時にバトンパス。それを受け取った照井はアウトレーンから抜くことを仕掛けるも失敗、まずは相手を前に出させ最後の直線でまくる。ラストは三宅にバトンが渡り、300mまで追いつかれそうになるもラストの100mで相手を大きく引き離し1位3'21"43でゴールイン。両リレーでの勝利は短距離の層の厚さを物語っている。
2.今年の総括
総合得点は一橋男子41対東大男子71で30点差をつけられての敗北であった。トラックでは33対29と勝ち越しはしたものの、フィールド種目でのスコンクが総合得点に響いた。しかし予想したほどトラックで稼げなかったことは紛れもない事実である。毎年東大側の戦力が我が部の戦力を凌駕してくることはいつものことであり、そこをどのように工夫して勝ち越すかが重要なので言い訳のしようがないと思っている。女子の部では一橋4対津田44対東大54であった。津田は戦力もそろい戦えるチームが出来上がってきているため、来年は東大と勝負できることを期待する。一橋の女子チームに関しても部員が圧倒的に足りないので、選手を入部させることがチームつくりの一歩目だ。
3.来年以降の展望
来年以降の東大戦を展望すると、次のようになる。
幸いこれから引退する4,5年生の男子プレーヤーは休部者を除くと5人だけであり、残りの32人は残る。津田一橋女子に関しては誰も抜けない。したって、長期的に練習に取り組み、東大戦の経験を活かして新しいチーム作りの一端を担ってもらうことが可能な部員が多く存在する。さらには来年入ってくる一年生を一定人数確保できれば競技の分担という意味でよい環境が作れる。加えて、OBの皆様のご支援による国立グランドの改修が終わり、タータン化が完了すれば競技レベルの更なる向上が望める。
しかしこのような環境面での整備もさることながら、結局のところ、個人個人の努力が物を言うというのが僕の信念である。部員一人一人が、妥協をなくし、競技に集中するという意識を持ったチーム作りをしなければならない。これは「ローマは一日にして成らず」という言葉がある通り時間のかかるものであるので、次期主将、さらにその次の主将にしっかりと引き継いでいきたいと考えている。
4.最後に
OBOGの皆様、いつも応援ご支援本当にありがとうございます。今回の東大戦にもたくさんのOBOGの皆様が直接駒沢まで応援に来てくださいました。結果を楽しみに、遠方からも多くの方がおいでくださいました。
何といっても年に一回の東大戦、我々現役の選手・マネージャーもチーム一丸となって、「今年こそは勝てる」という意識をもってこの夏の練習や合宿を乗り越えてきました。しかし結果としては30点差の敗北。チームを完成させることが出来ず、
自分の努力不足、リーダーシップ不足を痛感いたしました。
来期以降に向けたチーム作りを、後輩にしっかりと引き継いでまいります。
東大戦は終わりましたが、まだ秋のシーズンが続きます。気持ちを切り替えて、次の名大戦に向かって陸上部一丸となって毎日練習に励んでいます。
どうぞこれからもよろしくご支援くださいますようお願いいたします。
(2013年9月13日)