私が聞いた青学、原監督の曼荼羅メソッド

大塚先輩は数年前に青山学院大学、原監督の講演会・および懇親会に出席する機会があり、その内容を現役部員に参考になれば、との思いから寄稿いただきました。文中、記録や実績・年号は吹田が補足しました。

@ 青学が箱根駅伝3連勝した頃、日本生命が「青山大学駅伝強化の歴史」講演会を横浜で実施し、講演会後の懇親会で、原監督から苦労談を聞く機会があった。

A 原監督の講演のあらまし
1) 広島県世羅高校卒業、高校時代駅伝で名を挙げ,中京大学へ進学 大学在学中ケガなどが重なり、競技歴はないが、卒業時、希望する企業に 就職かなわず、1989年郷里の「中国電力」に入社、陸上競技部創設に参加した。
自ら主将として実業団駅伝への初出場にも貢献した。しかし臨んだ会社に就職を失敗し、故郷の中国電力に入社した。

2) 入社後、会社チームの練習方式が体に合わず、体を壊し、故障も完治せず、競技部監督との軋轢等から雰囲気に溶け込めず、27歳の若さで退部へと追い込まれた。

3) 運動部要員として入社した人事評価では「一般社員としては使い物にならずとの人事考課で、落伍者として「蓄電式空調システム販売業務会社」に出向を命じられ、飼い殺しか退社の運命が待ち受けていた。

4) しかしメゲズに二流会社の社員の大ボスになり上記の「エコアイス」を社内で一番の売り上げて評価を高め、新事業を立ち上げた。子社の志気を大いに盛り上げ名を馳せた。【自称=伝説の営業マン】

5) 36歳の時に、母校世羅高校2年先輩中国放送瀬戸昇氏(青山学院大学陸上技部OB)より、青山学院大学陸上競技部監督に推挙された。
契約条件:箱根駅伝に3年で出場、5年でシード権、10年で優勝争い を宣言した(大風呂敷)。

6) 監督就任後の初期の成績
就任3年目の2006年第82回箱根駅伝予選会で16位と惨敗、大学幹部から「話が違う」と責められ、長距離部門も廃部寸前となった時期もあつた。

7) 計画の挫折原因のと現役部員の「監督指導方針支持の請願」監督就任時、高学年部員はポッと出の新監督を信用せず、勝手な行動をとり、チーム内のまとまりを欠いた。古参の部員が卒業後、残された部員は責任は自分たちにある。監督のイメージする「曼荼羅計画」に真剣に取組み、自分たちの名誉を取り返すべく大学へ新体制による青学陸上の変革運動を請願し、受け入れられた。

 〇 2004年 青山学院大学・陸上部監督就任
 〇 2006年 箱根駅伝予選会で16位と惨敗(上述)
 〇 84回大会(2008年) 関東学連選抜を指揮(総合4位)
 〇 85回大会(2009年) 33年ぶり予選会通過
 〇 86回大会(2010年) 8位でシード権獲得
 〇 87回大会(2011年) 10区ゴール直前青学含む4チームが3つのシード枠を争う大混戦、総合9位
 〇 88回大会(2012年) 総合5位
 〇 89回大会(2013年) 総合8位
 〇 90回大会(2014年) 総合5位
 〇 91回大会(2015年) 往路・復路総合初優勝
 〇 92回大会(2016年) 連続総合優勝
 その後今年、2025年の101回大会までに6回優勝

駅伝の「青山学院」の地位は確固たるものとなった。これもしっかりとした長期計画を固め、確実に実績を積み上げてゆく意欲と実行精神の積み重ねに他ならない。

夢の実現とは、
 @ 目標の設定
 A 実行計画
 B 着実の進行管理
 C 計画を確実に進める(強い意志)⇔集団的行動

講演会後の懇親会では、原監督は「団体の勝利」=「連帯意識」、「討って一丸」を強く強調したのが印象的だだった。

以降、大塚先輩提供のマンダラチャート関連資料を基に作成

原監督も利用した『曼荼羅計画』とは

 マンダラチャートを使った目標達成のためのメソッド。マンダラチャートは3×3の9マスの枠で構成されるフレームワークですがシンプルゆえに応用の幅も広く、事業計画やアイデア出し、勉強、スケジュール作成などあらゆるシーンに応用できる。

 経営コンサルティングを行うクローバ経営研究所代表の松村寧雄氏が1979年に考案したマンダラチャートは、現在まで様々なシーンで活用されており、ドジャースで活躍する大谷翔平選手も高校時代から利用していました。

大谷翔平選手作成の目標シート
chart

 マンダラチャートの基本ルールは、とてもシンプルです。9つのマスの真ん中にテーマを入込み、周辺のマスに関連項目を入れていくだけです。
 使い方の基本は、フレームの中心にテーマを書き周辺の8マスに対策や行動計画、要点などを展開していきます。順番は真ん中下のAから時計回りで展開していくのが特長。

マンダラチャートは、思考法として確立されたものですが用途は様々で、たとえば
・人生目標や行動計画立案
・事業計画
・学習(読書や要点のまとめ)
・商品開発
などに活用されています。

似たメソッドとしてマインドマップがあります。同じ点は中心から周辺へ放射状にアイデア等を配置することにより、
・中心にあるテーマを意識できる
・全体と部分の関係性が一目瞭然
という効果があり、創造性や記憶の定着に寄与するというものです。

マインドマップとマンダラチャートは
◆アイデア創出・記憶の定着:マインドマップ
◆計画立案・まとめ:マンダラチャート
と使い分けるといいでしょう。

参考サイト
大谷翔平の目標シート(マンダラチャート)がすごい!作り方を解説
【事例付き】マンダラチャートとは?目標達成に近づく書き方と手順のポイント
マンダラチャートの作り方【図解】書き方・使い方の例と効果や欠点