「箱根駅伝2017」 ・・・岩瀬 浩一(1966年入学)



今年の箱根駅伝では、2年前のこのコラムで筆者も強く主張した、懸案の5区山登りの距離が23.2kmから20.8kmに短縮された。

レース自体は結果的に、圧倒的な戦力の厚みを誇り、復路に区間賞候補をずらりと並べた青学大が往路を制した時点で勝負ありで、緊迫した優勝争いにはならなかった。しかし、復路の繰上げ出発(トップから10分以上遅れたチーム)が昨年の13チームから5チームに激減した事でもわかるように、距離短縮前に比べ上位争いが白熱化する可能性を示したと言える。

打倒青学大を目指した主なチームの結果は次の通り。
<東洋大>
エース服部弾馬で1区をリード。5区、6区でやや誤算があったものの、ほぼ実力通りの走りを見せて2位に食い込む。
<早大>
往路に主力をつぎ込み青学大と33秒差の2位と健闘したが、復路の6区、8区で力不足を露呈し3位に順位を落とす。
<駒大>
故障明けで懸念されたエース中谷が4区で大ブレーキを演じた時点でジ・エンド。かろうじてシード権は確保したものの9位にとどまる。
<東海大>
往路に高校駅伝で大活躍したゴールデン・ルーキーズを4人も起用し、戦前青学大の原監督が最も警戒していたチームだが、2区關颯人が経験不足を露呈して2位から11位に順位を落とすと、後続にも伝播して往路15位に沈む。それでも復路は上級生が踏ん張り、何とかシード権確保の10位に滑り込む。

来年以降を占うと、昨年までと違って、5区に「山の神」もしくは「山の神もどき」が出現するかどうかでほぼ優勝チームが決まってしまう状況では無くなったが、青学大の圧倒的な戦力の厚みに翳りは無さそうに思える。
これに対抗できるとすれば東海大で、今年苦い経験を積んだゴールデン・ルーキー達がどこまで成長するか、両角監督のお手並み拝見というところであろう。

(2017年1月9日受信)