「箱根駅伝2015」
・・・岩瀬 浩一(1966年入学)
今年の箱根駅伝は、駒沢が最有力でこれを追うのが東洋、明治、青学というのが戦前の
大方の予想であったが、青学のぶっちぎり優勝という想定外の結末となった。
そもそも7年前に青学が33年ぶりの出場を果たした時、同校がシード校の常連になり、 ましてや優勝するなどと想像した人が何人いただろうか。 然るに原監督は11年前に就任した時、5年で予選を突破し10年で優勝を争えるチームにすると公約したというのだから恐れ入る。
同監督はマスコミで盛んに取り上げられて今や時の人であるが、意外と知られていないのが就任当時は闇雲に距離を走らせることはせず、比較的短時間で練習を終えさせたため選手達から練習量が少なすぎるのではないかと批判の声が出たり、ひょうきんな性格から軽く見られる傾向があったということだ。
しかし結果として選手達の故障が大幅に減り、しっかり練習を積めるようになったため
地力が付いていった事と、一方では合宿所で選手達と一緒に生活し気さくに色々な相談にのる事で選手達の心を掴んでチームのいい雰囲気を作っていったようである。
ところで、青学の優勝はやはり山登りの5区で神野が2位に約5分の差を付けたことが決定打となったのは間違いないであろう。
5区が現在の23.4キロになってから10年になるが、この間5区で区間賞を取ったチームがすべて往路優勝、総合でも7チームが優勝を遂げている。このことはチームに“山の神”もしくは“山の神もどき”が居るか居ないかで優勝がほぼ決まることを意味する。
そもそも800mも登る過酷な区間が一番距離が長いというのは理不尽なことだ。ここでついた差は残る9人のランナーがいかに頑張っても埋めきれないほどのものとなり、終盤での手に汗握る優勝争いはほとんど期待出来なくなってしまった。
関東学連の説明では、5区はマラソンランナーを養成するために長くした、4区は中距離ランナーでも走れるように短くしたとのことだが、マラソンで800mも登ることはないし
23.4キロでは距離が短すぎる。また4区の18.5キロは中距離ランナーがこなせる距離ではない。
結果を見ても元祖山の神の今井正人は、マラソンでは短い7区で最下位争いをしていた中本健太郎の後塵を拝しているし、2代目の柏原は相変わらずパッとしない。つまりこの説明は詭弁としか言いようがなく、スポンサー収入やTV放映料等今や巨額のマネーが動くこのイベントの裏で何やら妙な力学が働いているとの声も聞かれる。
原監督は12区間にして5キロ程度の区間を設けたらどうかとの提案をしているという。
その提案の是非はともかくとして、少なくとも現在の5区を従来の20キロ程度に戻さなければ「復路は退屈で面白くない」というファンが増えるばかりであろう。
(1月9日受信)