「欧米で経験したこと」・・・・・
澤田 大志(1999年入学)
1. 自己紹介
私は2003年卒で、専門は400mでした。大学入学までは文化系で、スポーツに打ち込むこと自体が初めての経験でしたが、体を鍛えるということは新鮮で充実感があり、(苦しくも)楽しい競技生活だったと思います。今も22大学の駅伝など、大会には定期的にお邪魔しております。
現在は、化学素材メーカーに勤めており、東京勤務です。今回、どのようなことを投稿しようかと悩みましたが、会社では海外で生活するチャンスに恵まれましたので、その経験から、少し書いてみました。(07年にベルギーに3ヶ月、08年〜11年にアメリカ テキサス州のヒューストンに3年間滞在していました。)
2. 海外で経験したこと
「気さく」な欧米の人たち
ヒューストンでは、単に田舎町だからかもしれませんが、皆さん気さくです。自分としては、海外の全てが非日常という感覚でしたし、英語を話せるのが嬉しいので、できるだけ日本人の集団からは離れて、現地人の中に飛び込んでいくように努力したつもりです。彼らはとてもやさしく、すぐに受け入れてくれます。(ただ、赴任当初は、日本でおどかされていたこともあって、強い警戒心を持っていってしまいました。そのためもあってか、最初の数ヶ月は大変でした・・・。)
彼らは知らない人に対してもオープンで、例えば私が喫茶店で仕事の書きものをしていると、店員や他の客がよく話しかけてきてくれました。
ヒューストンに行く前は、「アメリカでは、どんどんアピールしないと埋もれてしまう」とおどかされていましたが、私が実際の感覚として感じたのは、「どんどん話さなければいけない」というよりも、「彼らは聞く姿勢があるから、安心して話せばよい」ということです。日本よりも、ヒューストンでは、よく話に耳を傾けてもらえると感じました。多少、間違ったことやピント外れな発言でも、(利害が絡まなければ)ポジティブに受け入れてもらえますし、そこから話を発展させようとしてくれると思います。そういう素地があるから、彼らはおしゃべりでいられるのではないか、という気がします。
また、ベルギーにも滞在していましたが、ヨーロッパにいたときに、文化の違いとして、わかりやすく印象に残っているのは、鉄道や地下鉄に乗っているときに見聞きしたことです。
例えばベルギーでは、北部と南部で言語が違います。北部はフラマン語(オランダ語の方言のようなもの)で、南部に行くとフランス語になります。鉄道で北から南へ移動していくと、まるで日本の電車で東京から福島へ行くときに周りが方言に変わっていくように、乗客や車内放送の言葉自体が変わっていきます(どちらにしろ、わからないのですが・・・)。ヨーロッパでは複数の言語を話すのが当たり前で、母国語でもないのに英語も十分に使いこなしており、当初は非常に驚きました。
もう一つは、列車でとなり合わせた他人同士が、長い友人のような距離感で、雑談を始めるのを見て驚きました。年配の女性同士のこともあれば、若い男女でさえもそのようなことになっています。そのときは見間違いかとも思いましたが、後々調べてみると、やはりそういう文化がヨーロッパにはあるようです。
また、フランスの地下鉄に乗っていたときのことですが、エレキギターとアンプを持った男性が乗ってきて、大音量で、車内で演奏を始めるのを見ました。そして他の乗客は手拍子。駅の構内でも弾き語りやバイオリンなどの合奏が聴けて、なんと楽しいところかと思いました。
「世界の果て」へ
旅行先としては、聖堂や城などの文化的なものであればヨーロッパは素晴らしいと思います。アメリカは、歴史が浅いためか文化的なものにはあまり惹かれませんでしたが、ヨセミテやグランドキャニオンなどの国立公園では、日本では見られないであろう絶景が数多くあります。
海外駐在員の役得なのですが、日本からは行きにくい場所へ足を延ばすことができました。一人で身軽でしたし、機会を見つけてはできるだけ旅行に出かけました。中でも一番印象に残っているのが、パタゴニアです。具体的には、「世界最南端の町」といわれるウシュアイアというところへ行ってきました(アルゼンチンの南端です)。特に何が見たいという目的はなく、「人が行かないところへ行きたい」という子供じみた発想から、世界地図で南米最南端をチェックしたところ、空港があることを確認。帰って来れるか半分不安なまま、行ってきました。
北米と南米は、近そうに思えるのですが、場所によってはかなり離れています。ヒューストンからブエノスアイレスまで12時間ほどかけて行き、そこから乗り換えてさらに4時間ほどかけて、ウシュアイアまでたどり着きました。
目的の空港にたどり着いたのは夜で、しかも吹雪のために、空港にタクシーがなかなか来ず、2時間ほど待ってやっと他の旅行客とタクシーに同乗。そのタクシーも、予約したホテルが山の上なのでそこまでは行けないとのこと。やむを得ず、タクシーに同乗した方が泊まる宿に連れていってもらい、空き部屋に飛び込みで泊まらせていただきました。
初日だけこのようなトラブルがありましたが、翌日以降は快晴で、しかも何のことはなく、それなりに有名な観光地のようでした。英語は通じませんでしたが、路頭に迷うこともなく、楽しい旅行でした。特に景観に期待してはいなかったのですが、手つかずの自然が残っていると言われ、雄大な雪山と透き通った海に感激しっぱなしでした。なお、遠すぎるせいかアジア人はほとんどおらず、日本人には一人も会うことがなかったので、異郷に来たという気分を味わうにはよい場所です。南極まで2000kmという、いかにも寒そうな場所なのですが、充分に着こんでいけば、それほど寒さは感じませんでした。とにかく美しい場所で、お勧めです。なお行ったのは9月で、まだ冬でした。もう少し後になり、暖かくなれば、ペンギンの大群に会えるそうなのですが、残念ながらペンギンには会えませんでした。
3. 近況報告
良縁に恵まれ、今年結婚することになりました。一人暮らしが10年以上続きましたので、適応できるか不安はありますが、新居に引越し、家具をそろえているところです。
体がなまりっぱなしですが、また大会などには走りにお邪魔したいと思います。皆様、今後とも、よろしくお願い致します。
(写真1)2011年春、ヒューストンのパーティー会場で現地の同僚たちと
(写真2)2010年9月、ウシュアイアで乗ったクルーズ船の上で
(5月8日受信)