遠方の朋・近くの友

「76歳の挑戦」・・・・・ 松永 宣夫(昭和34卒・1955年入学)


松永さん 去る10月の東京マスターズ選手権で私の76歳の公式競技会は終了しました。 今年は4月に、目標にしていた重量投げで従来の75才台日本記録を30センチ更新する13m00を 投げましたたが、他の円盤、砲丸、ハンマーでは昨年の自己記録を上回る事が出来ませんでした。

54歳でマスターズに参加してから22年。ずっと円盤、砲丸を中心に投げてきましたが 近年は年令と共にいくら練習しても記録が落ちてくるのは当然で、円盤投(1キロ)でいえば60才の時、 43m。70才37m。75才になってから本番では30mを越していないのが現況です。 そこで数年前から,この歳になってハンマーを始めればどの程度投げれるようになるものかと 考え挑戦を開始しました。 ただ、特にハンマーは投げれる場所が少なく、大方のの競技場ではサッカーが優先されて 芝を痛めるハンマーは投げれず、仲間達も投げ場探しにそれぞれ苦労しています。 それで私もハンマー練習の補強の為、同じようなターンをして投げる重量投  (20センチ位の鎖のついた重い鉄球を投げるマスタ―ズ固有の競技。75才台は7,26キロ) を みっちり投げ込んできました。その練習の甲斐があってかフォームも安定してきて記録も伸び出し、 昨年には日本記録も射程に入り、今春、とうとう目標を達成したものです。

日本記録といってもマスターズという限られた中の私の年層での記録にすぎず、 これも来秋にはハンマー専門の実力者が75才に上ってくるので、軽く破られると思います。 この事が倶楽部のHPで快挙として取り上げられ、面映ゆい思いをしておりますが、ともかく、 今現在は私の人生で夢にも思はなかった日本記録保持者という事で自己満足している所です。

さて、肝心のハンマーですが、1年前から離れたスポーツ広場で人気のない早朝で あれば投げれそうなので、週2回位、日の出とともに出かけて1時間位投げ、 後はきちんと整地して帰っています。ゼロからのスタートなので今の所まだ伸びしろがある感じで、 記録も伸びてきており、練習では2回転ターンで33mを投げれるようになってきました(女子用4キロ使用)。  それにしてもハンマーのターンは本当に難しく機会があれば上級者から練習のポイントを 教わったり連続写真を眺めたりして習得に努めていますが、この歳の体では中々いう事を聞いてくれません。 それでも名選手達の、あの流れるような連続ターンを夢見て少しは近づきたいと 今はハンマーにのめり込んで取り組んでいます。 兎に角、連続ターンを確実にマスターしないと記録も伸びないのでただ一人、 近所の広場の片隅でターン用ゴムハンマーを廻したり、スポーツジムの鏡の前で空ターンの 松永さん 練習をしたり、外へ出た時も滑らかなフロアがあると、つい左足踵とを軸にくるりと廻ったりしていて、 さぞかし変わり者の老人がいると見られている事でしょう。

これからについては、4年後の80才台になって次なる日本記録更新のチャンスも巡って来るかも知れません。 ロンドンオリンピックの際、「練習しても目標成できるとは限らない。 しかし、練習しなければ目標達成は出来ない。」との誰かの言葉がありました。 更に、努力すればそれなりに報われると信じ、これからも体調管理を心掛け好きなトレーニングを 続けてゆくつもりです。

以上、自分の競技の事ばかり書きましたが、長年、多くの競技会に出て、競技役員、 審判の人達が風雨、寒暑にもかかわらず終日進行に携わっておられる姿に感謝しておりました。 私も今年から、これまでのご恩返しのつもりで、神奈川マスターズの役員になって、 裏方の仕事を手伝っていますが、特に今年は、関東大会、全日本混成大会と大きな大会を 当地で引き受けたので、当日は出場を断念して裏方に専念しました。大会前の諸準備から 当日の運営まで大変ですが、私達高年者が中心になって手分けして頑張ってやっています。 このマスターズには、我が倶楽部からも知る限り私の他、5人を越す人が参加して楽し みながら記録に挑戦しています。私にとっても、このような仲間たちが増えてくるのは大 変うれしく、もっと多くの皆様の参加されるのを心待ちにしています。

(11月24日受信)