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「リンクス・ゴルフ礼賛」・・・・・ 中野 克也(1981年入学)

London 

みなさんこんにちは。1981年入学で短距離パートに所属しておりました中野克也です。
2009年5月からロンドン勤務となりほぼ3年がたちましたが、この3月末で帰国することとなりました。 今回の駐在の思い出としてこの3年間でハマってしまった「リンクスでのゴルフ」について書いてみたいと思います。

@全てはセントアンドリュースから始まった
私はロンドンには1991年から1995年まで4年間駐在したことがあります。 初めての海外駐在でもあり、幼子2人(着任時3歳と1歳)の手を引きながら欧州の定番の観光地を巡るのが当時の休暇の過ごし方でした。 2009年に2度目のロンドン勤務が決まった際には、子供たちは2人とも既に大学生。今回は妻と2人でロンドンに赴任することとしました。 妻が到着し生活も少し落ち着いた最初の夏休みに、思いつきでセントアンドリュースでゴルフでもしようか!ということに。 コースの予約も一切せず、4泊分の宿だけ押さえて、自宅から約750キロをドライブし、ゴルフの聖地に辿りつきました。 この時の5日間はまさに至福の時。初めてプレーしたリンクス・コースの楽しさ/難しさに魅入られてしまいました。 前日の抽選に当たって、有名なオールドコースでも2ラウンドできる幸運にも恵まれました。

Aリンクス・コース巡礼 London 
リンクスに魅入られた我々夫婦は、休暇はゴルフに費やそう/特にリンクスを重点的に回ろう、ということに決めました。 Golf Worldなる雑誌のTop 100 Golf Courses in UK & Irelandというリストを眺めつつ、 まるで日本100名山か四国八十八箇所霊場巡りのようなノリで、ツアーを企画しました。
この3年間のツアーは、スコットランドに5回/延べ26日間/33ラウンド(日数<ラウンド数なのは1日2ラウンドがあるから)、 アイルランドに3回/延べ15日間/16ラウンド、ウェールズに1回/延べ3日間/3ラウンド、 地元イングランドは(2泊以上のものをツアーとすると)4回/延べ13日間/16ラウンド。 因みに最長は2011年夏のスコットランド、8泊9日12ラウンド。フルセットのクラブに加えて傘や レインウェアを納めたキャディバッグを担いで100キロ位歩いた計算になります。走行距離約2200キロのドライブも含め、 もはや修行と言ってもよさそうです。学生時代に体を鍛えておいてよかったなとつくづく思います。 UK & Ireland Top100ですが、この3年間で60コースを踏破、Top50に絞ると 41コースまで踏破(いずれもリンクスでないコースも含みますが)ということになりました。 我ながら「よくぞここまで」と思います。
プレーしたコースには色々な思い出がありますが、個別のコースについて書き始めるときりが無いのでここでは止めておきます。 もし同好の士がおられれば、どこかの機会で是非語り合いましょう!

Bリンクス・コースの魅力 London 
「リンクス」という言葉は、「海と陸を繋ぐ(Linkする)場所」ということから来ているそうです。 耕作には適さず、羊の放牧ぐらいしか使い途が無い土地で、その昔時間を持て余した牧童たちが、 羊が食べて短くなった草の上で、ウサギが掘った穴に向かって石ころを棒切れで打って打数を競った、 のがゴルフの発祥という説もあります。
いずれにせよ古いリンクス・コースには、殆どと言っていいぐらい人間の手が入っていません。 設計者がティとグリーンの位置を決めたら、その間の草を短く刈ってフェアウェーにしてコースの出来上がり!という訳です。 それを自然のままのデューン(砂の丘)の上でやるわけですから、フェアウェーはこぶだらけ、丘を越えたり、 谷を越えたり、理不尽と思えるようなホールが沢山できることになります。 リンクスは砂地ですが、表面はとても固く締まっています。
雨の少ない夏場のフェアウェーはコンクリートのようで、我々でも350ヤードショットは夢ではありません。 フェアウェーの芝は地表に申し訳程度にへばりついているだけで、日本の芝のようにボールを浮かせてはくれません。 芝の薄いフェアウェーからカチカチの硬いグリーン上のピンに向かってウェッジで寄せるのは至難の技です。 私はセントアンドリュースの16番ではピンまで80ヤードのアプローチにパターを選択しました。 ラフはあくまでもラフ。手を入れないエリアは自然のままで草は伸び放題。
羊が風よけに掘った穴が由来といわれるバンカーは深いのなんの。いずれも簡単には脱出できません。 イギリスやアイルランドは天候も不安定。突然のシャワーやめまぐるしく向きを変える風も特徴です。 穏やかな晴天でティオフしたのにずぶ濡れでホールアウト、などということも珍しくありません。 遮る樹木の無い海沿いの土地を吹き抜ける風は暴力的で、時には身の危険を感じさせるほどです。

スコアメイクには難しいことだらけですが、リンクスでのゴルフには独特の魅力があります。 「野で遊んでいる」感じとでも言うのでしょうか。海辺の空気を吸いながら、ゴース(ハリエニシダ)や ヒースの花咲くデューンの迷路をさまよい歩いていると、別世界に居るような錯覚に陥ることもあります。 日本に戻っても、リンクスの厳しくも美しい風景を懐かしく思い出すことでしょう。 いつかまたゴルフの故郷でプレーできる日を夢見つつ。

写真は、
@St Andrews Old Course No.18
AUK&Ireland Top100のリスト(ピンクに塗ったところがプレーしたコース)、
BCruden Bay GC No.4

(3月9日受信)